【新電力が倒産】したらどうなる?電気が止まらない理由と対処法
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2016年の電力自由化以降、多くの新電力会社が参入しましたが、燃料価格の高騰や電力市場の変動により倒産・撤退する新電力も増えています。「契約している新電力が倒産したらどうなるの?」「電気が突然止まるの?」と不安に思う方も多いでしょう。結論から言えば、新電力が倒産しても電気は止まりません。この記事では、その理由と具体的な対処法を解説します。
この記事の結論
- 新電力が倒産・撤退しても電気が突然止まることはない
- 大手電力会社のセーフティネット(経過措置)が働く
- 通知を受けたら速やかに新しい電力会社を選んで切替手続き
- 大手電力会社に戻すことも可能(違約金なし)
- 安全な新電力を選ぶには会社規模・プラン内容・契約条件を確認
新電力が倒産・撤退した場合の流れ
新電力が事業の継続を断念した場合、次のような流れで進みます。ユーザーへの事前通知が義務付けられているため、ある日突然電気が使えなくなるということはありません。
倒産・撤退時の一般的な流れ
- 新電力から通知が届く:撤退・サービス終了の通知がメール・郵送で届く(通常1〜2ヶ月前)
- 切替猶予期間:通知から供給停止日までの間に、新しい電力会社を選ぶ期間がある
- 新電力の供給が終了:予告された日に、新電力からの電気供給が終了する
- セーフティネット発動:新しい電力会社を決めていない場合、大手電力会社の「経過措置プラン」に自動移行
- 新しい電力会社と契約:自分で選んだ電力会社との契約を開始
突然の倒産(計画的でない破綻)の場合も、電気は止まりません。電力供給の仕組み上、送配電設備は大手電力会社(一般送配電事業者)が管理しているため、新電力が突然消滅しても送配電は継続されます。
電気が突然止まらない理由
新電力が倒産しても電気が止まらないのは、日本の電力供給の仕組みに理由があります。
電気が届く仕組み
- 電気は送配電網(電線)を通じて届く
- 送配電網は一般送配電事業者(大手電力系)が管理
- 新電力はこの送配電網を借りて電気を届けている
- 新電力がいなくなっても送配電網は動き続ける
セーフティネットの仕組み
- 電気事業法で最終保障供給義務が定められている
- 一般送配電事業者はすべての需要家に電気を届ける義務がある
- 新電力がなくなっても大手電力が供給を引き継ぐ
- ユーザーは新しい電力会社を自分のペースで選べる
つまり、新電力は「電気を調達して販売する」役割を担っていますが、「電気を届ける」役割は大手電力系の送配電事業者が担っています。この役割の分離が、新電力が倒産しても電気が止まらない理由です。
大手電力のセーフティネットの仕組み
新電力が撤退した際のセーフティネットには、主に2つの仕組みがあります。
1. 経過措置プラン(最終保障供給)
新電力が供給を停止し、ユーザーがまだ新しい電力会社を決めていない場合、お住まいのエリアの大手電力会社が「最終保障供給」として自動的に電気を供給してくれます。
- 手続き不要で自動移行される
- 通常の料金プランより割高な料金が適用される場合が多い
- あくまで一時的な措置であり、早めに正式な契約先を決める必要がある
2. 大手電力会社の通常プランへの切替
最終保障供給ではなく、直接大手電力会社の通常プラン(従量電灯など)に申し込むこともできます。こちらの方が料金は安くなります。
重要:最終保障供給は通常より割高な料金が設定されています。新電力から撤退の通知を受け取ったら、供給停止日までに新しい電力会社を決めて切替手続きを完了させましょう。
実際に倒産・撤退した新電力の事例
2022年以降、燃料価格の高騰を背景に多くの新電力が撤退しました。主な事例をまとめます。
| 時期 | 主な出来事 | 影響 |
|---|---|---|
| 2022年 | 燃料価格高騰により多数の新電力が撤退・倒産 | 経済産業省の調べで約70社以上が事業撤退 |
| 2022年3月 | エルピオでんきがサービス終了を発表 | 約10万件以上の契約者に影響 |
| 2022年6月 | 複数の中小新電力が相次いで撤退 | 各社のユーザーは大手電力等に切替 |
| 2023年以降 | 経営基盤の弱い新電力の淘汰が続く | 大手グループ系新電力は概ね安定 |
いずれの事例でも、ユーザーの電気が突然止まったケースはありません。通知を受け取った後に大手電力に戻すか、他の新電力に切り替えることで問題なく電気を使い続けられています。
倒産した場合にユーザーがすべきこと
契約中の新電力から撤退の通知を受け取った場合、以下の手順で対応してください。
撤退通知を受け取った後の手順
- 通知内容を確認する:供給停止日・切替期限・未払い料金の精算方法を確認
- 新しい電力会社を選ぶ:大手電力会社に戻すか、別の新電力を選ぶ
- 切替手続きを行う:新しい電力会社にWebまたは電話で申込み(旧電力会社の解約は不要)
- 切替完了を確認する:通常2〜3週間で切替が完了。電気が途切れることはない
迷った場合は、お住まいのエリアの大手電力会社(東京電力・関西電力など)の通常プランに戻すのが最もシンプルで安心です。
安全な新電力の選び方
新電力すべてが危険というわけではありません。次のポイントを押さえれば、倒産リスクの低い新電力を選べます。
| チェックポイント | 安心な例 | 注意が必要な例 |
|---|---|---|
| 運営会社の規模・知名度 | 大手グループ企業(ENEOS・東京ガス・au等) | 知名度の低い小規模事業者 |
| 自社発電設備の有無 | 自社で発電設備を保有している | 市場からの調達に100%依存 |
| 料金プランの仕組み | 固定単価プラン・大手と同等の従量制 | 市場連動型プラン |
| 契約条件 | 解約違約金なし・期間縛りなし | 高額な違約金・長期縛り |
| 契約件数 | 数十万件以上の供給実績 | 供給実績が少ない・非公開 |
大手グループ系の新電力の例:ENEOSでんき(ENEOS)、東京ガスの電気(東京ガス)、auでんき(KDDI)、ソフトバンクでんき(ソフトバンク)、ドコモでんき(NTTドコモ)など。これらは親会社の経営基盤が安定しているため、倒産リスクは相対的に低いと言えます。
大手電力に戻す方法
新電力から大手電力会社に戻す手続きはシンプルです。
大手電力に戻す手順
大手電力会社に戻す際の違約金・手数料はかかりません。新電力の解約手続きも、新しく契約する大手電力会社が代行してくれるため、基本的に自分で旧新電力に連絡する必要はありません。
各大手電力会社の窓口一覧は大手電力会社10社の手続き窓口一覧で確認できます。
市場連動型プランのリスク
新電力の料金プランの中でも、特に注意が必要なのが市場連動型プランです。
市場連動型プランとは?
日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に連動して電気料金が変動するプランです。通常時は固定料金プランより安くなることがありますが、電力需給がひっ迫した場合に料金が急騰するリスクがあります。
過去の高騰事例
- 2021年1月:寒波による電力需給ひっ迫で、JEPXの取引価格が一時的に通常の約10倍に高騰。市場連動型プランのユーザーの電気代が数万円〜十数万円に膨らむケースが発生
- 2022年:ロシア・ウクライナ情勢による燃料価格高騰で、市場価格が長期間にわたり上昇
市場連動型プランの注意点:「通常時は安い」という魅力がありますが、電力市場の高騰時に電気代が跳ね上がるリスクがあります。電気代を安定させたい場合は、固定単価プランまたは大手電力会社の通常プランを選ぶ方が無難です。
よくある質問
Q: 新電力が倒産したら電気は止まる?
A: 止まりません。新電力が倒産・撤退しても、大手電力会社のセーフティネット(最終保障供給)により電気は供給され続けます。ただし経過措置は割高な料金のため、速やかに新しい電力会社への切替手続きを行ってください。
Q: 新電力が撤退した場合、ユーザーは何をすべき?
A: 撤退の通知を受け取ったら、速やかに新しい電力会社を選んで契約手続きを行ってください。大手電力会社に戻す場合は、お住まいのエリアの電力会社(東京電力・関西電力等)に電話またはWebで申込めばOKです。
Q: 新電力はやめた方がいい?
A: 新電力すべてが危険というわけではありません。大手グループ系(ENEOSでんき・東京ガスの電気・auでんきなど)は経営基盤が安定しています。会社規模、料金プランの仕組み(市場連動型でないか)、契約条件を確認して選べば安心です。
Q: 大手電力に戻すにはどうすればいい?
A: お住まいのエリアの大手電力会社に電話またはWebで申込むだけで戻せます。違約金・手数料はかかりません。旧新電力の解約は新しい電力会社が代行してくれます。
Q: 市場連動型プランのリスクとは?
A: JEPXの取引価格に連動するプランで、通常時は安いこともありますが、電力需給がひっ迫すると料金が数倍〜十数倍に跳ね上がるリスクがあります。2021年1月の寒波時には、月の電気代が数万円〜十数万円になるケースが発生しました。
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